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新潟）1F事故の検証報告案を公開　再稼働判断に節目

東京電力柏崎刈羽原発の安全性を議論する県技術委員会は28日、福島第一原発事故の原因を検証した報告書案を公開した。一部の論点は議論が続くが、大筋の内容はまとまり「三つの検証」の一つが区切りを迎えた。

　県技術委での議論は、福島第一原発事故の対応を検証し、柏崎刈羽原発の安全性を高める目的で2012年から始まった。福島第一原発を3度視察し、国会や民間の事故報告書の内容をもとに、津波対策や発電所内の事故対応、原子力災害時の情報伝達など10項目の課題と教訓をまとめた。

　原発事故時に東電による炉心溶融（メルトダウン）の公表が遅れた問題では、「当時はメルトダウンを起こしたことを認めず、住民に事故の重要度が伝わらなかった」と指摘。「進行中の事故の状況から推測される安全上のリスクなども丁寧に発信する必要がある」と教訓を示した。

　原子力災害時の重大事項の意思決定については、原子炉への海水注入を巡って官邸と東電本店の指示が異なり現場が混乱。「経験と知識が不足した人たちが経営などを考慮し意思決定していた」と結論づけた。

　報告書案は、県のホームページで公開されている。文言の修正などをした上で最終的な報告書がまとまる見込みだ。

　今後の技術委の議論は、東電が再稼働をめざす柏崎刈羽原発6、7号機の安全対策の確認に軸足を移す。だが、原発事故時の避難を巡る検証など別の委員会での議論は長引くとみられ、県が再稼働の是非を判断する時期はいまだ見通せない。

検証報告書案の骨子
【シビアアクシデント対策】

・背景　　格納容器ベントや消防車による注水が迅速にできず

・検証結果　　原子炉や格納容器への注水・除熱設備はテロを含め、不測の事態でも確実に原子炉を冷却するため設備の多様性を有すること

【過酷な環境下での現場対応】

・背景　　原発事故時に電源喪失や津波によるがれきが散乱し現場対応が困難だった

・検証結果　　協力企業のみでなく、事業者そのものが直接対応できる体制が必要

【放射線監視設備などのあり方】

・背景　　電源喪失によりモニタリングポストなどが使用できなくなった

・検証結果　　どのような状況でも監視可能な設備となるように改善すべきだ

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　花角英世知事が再稼働の議論の前提とする「三つの検証」。「福島第一原発事故の原因」のほか、米山隆一前知事が新たに加えた「原発事故が健康と生活に及ぼす影響」（健康・生活委員会）「原発事故が起こった場合の安全な避難方法」（避難委員会）がある。それぞれで議論を尽くし、さらに総括検証委員会でまとめられる。

　だが、各委員会で検討すべき課題は山積している。新型コロナウイルスが広がる中、避難所でどのように生活するかなど新たに検討すべき課題も浮上。さらに花角知事は、今後の技術委での6、7号機の安全性確認も再稼働の議論の前に考慮する姿勢も示している。

　検証報告書の公開を受け、技術委の中島健座長（京都大教授）は28日、「柏崎刈羽原発の安全性確認のスタートラインに立てる」と述べた。安全性を確認すべき事項について、委員から意見を募っている段階で、一定の合意に至るまでには時間がかかる見込みだ。