モンゴル最強の女戦士「私に勝てる男じゃなきゃ結婚しない」

私と結婚したいなら、私に勝て──そう宣言し、モンゴルの屈強なレスラーを次々と地に組み伏せた女性がいた。
チンギス・ハンのひ孫で、レスラーで、戦場を駆け故国を守った彼女の名前は、クトゥルン。
あまり聞き覚えのない名前だが、実はあのオペラ作品『トゥーランドット』に登場する姫君のモデルになっているのだという。

誰もが恐れる最強の女戦士

戦士として活躍する中国のプリンセスを題材にした映画『ムーラン』が世界中で話題になっている
。だが世の映画監督たちは、別の女性戦士に焦点を当てても良いだろう。
たとえばクトゥルンというモンゴル人の女性戦士は、おとぎ話とは違い、実在した人物だ。記録に残された「倒した相手」の数、そして彼女の強さを伝える逸話が、その存在を裏付けている。

クトゥルンは、カイドゥ・ハンという男の娘だ。中国の元王朝と深い関わりを持つクブライ・ハンのいとこで、チンギス・ハンのひ孫に当たる人物である。そんなクトゥルンは、誰もが恐れる戦士だった。
父親と共にクブライに立ち向かい、彼が取り入れようとした中国の文化から、チャガタイ・ハン国（中央アジアに存在した遊牧国家）の遊牧民的な生活様式を守っていたという。

彼女は1260年頃に生まれ、14人の兄弟と共に育つ。乗馬や弓術、そして後に彼女の名声の元となるレスリングで才能を開花させた。
馬術や弓術は現代もモンゴルの国技だ。これらの競技は「試合」を意味する「ナーダム」という国民行事でも行われており、特に大きなナーダムは毎年夏に開催されている。
ナーダムは、チンギス・ハンが1206年にモンゴルを築いたときから始まった。これは多くのスポーツ競技と同様、世界的にはそれほど有名ではないものの、国家にとって重要な意味を持つものと見なされてきた。

🔶負け知らずのクトゥルン

クトゥルンは決意していた。レスリングで自分を打ち負かせない相手とは結婚しない、と。
家族からはわざと負けるよう説得されることもあったが、思うままに戦いに挑んでいた彼女は結果的に、負けを知ることがなかった。

クトゥルンに求婚する者たちは戦いを挑む際、賭けの対象として馬を出した。
そして彼女の厩舎には、試合に勝利したことで手にした1万頭の馬がいたという。皇帝が持っていたとされる数に匹敵するものである。
当時アジア地方を旅していたマルコ・ポーロや、政治家でありペルシャ語の世界史『集史』を編纂したラシードゥッディーンも彼女に関する記録を残していた。

結局彼女は結婚したのか──これに関しては、意見がわかれる。
ラシードゥッディーンは、彼女がガザンというモンゴル人の支配者と恋に落ちて結婚したと書き残している。
一方で、彼女の父親が捕えていた囚人、あるいは補佐官と結婚したと残した人もいた。
なかには「愛する父親と近親相姦関係にあった」という噂を打ち消すべく、レスリングという手段を使うことなく普通に結婚したという人もいる。

クトゥルンの父親は1301年に他界した。そして、彼女に跡を継いでほしいという父親の願いは兄弟たちによって握りつぶされてしまう。
クトゥルンはその後、1306年に亡くなる──だが実は、今なお大勢の記憶のなかで生きているのだ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/48b5232044c08127e2fc43d3ce105bc6f794bfc9

ここで意味わからなくなった