日本人(20年前）「ニッポンの未来はウォウウォウウォウウォウ🤩」

　仙台育英、優勝。しかも強かった。５試合で奪った得点は４７、失点は１１。大会前は大阪桐蔭の１強と予想されていたが、春の選抜大会出場を逃した宮城のライオンは、ひそかに爪を研いでいた。

　東北勢の優勝には１００年以上の時間を要したわけだが、私の最も古い記憶は１９７４年の５６回大会。以来、数々の学校、選手たちのプレーを見つめてきた。

　記憶の中では、佐々木順一朗（福島・学法石川高監督）、著書の構成を担当させてもらった斎藤隆（ＤｅＮＡ投手コーチ）、大越基（山口・早鞆高監督）、わが気仙沼市出身の金村暁（阪神投手コーチ）、ダルビッシュ有（パドレス）といった選手たちの顔が思い浮かぶ。仙台育英の優勝は、先人たちが紡いできた物語の到達点と言える。

　今回の優勝の意義は、優勝旗が白河の関を越えたというだけでなく、「２１世紀のスタンダード」をつくったことで特筆される。それは分厚い選手層、特に投手陣の構築だ。

　２０２０年の選抜大会から１週間で５００球以内という投手の球数制限が設けられると、１人の投手で勝ち抜くのは至難の業となり、少なくとも２人、可能であれば３人の投手をそろえることが、頂点を目指すための必要条件となってきた。

　仙台育英はそれを軽々と超えた。球速１４０キロを超える投手は部全体で１４人を数え、ベンチ入りした５人の投手は、いずれも背番号１を付けられる実力の持ち主。須江航監督は育成力で高校野球の常識を変えた。今後、有力校は「２２年の仙台育英」を手本として強化を進めるだろう。