- 1 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/03/02(月) 22:00:26.260 ID:XkMvhi4Y0
- ―酒場―
青年「……」ギィィ…
男「おいおい兄ちゃん!」
青年「ひっ!」
男「ここはガキが来るとこじゃねえぜ! ガキは帰ってミルクでも飲んでな!」
青年「すいませんっ!」タタタッ
男「ヒャハハハハッ!」
ヒューヒュー! イイゾー!
- 2 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/03/02(月) 22:02:04.525 ID:HDIgJHGb0
- 青年「ってことがあってさぁ」
巨乳美少女「じゃあミルク飲む?」
- 3 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/03/02(月) 22:04:10.118 ID:XkMvhi4Y0
- こんな感じで俺は、町を代表するアウトローとして、
男「てめえみたいなよそ者は、ミルクでも飲んでな!」
旅人「……!」
男「ガキはママにミルクでも飲ませてもらうんだな!」
少年「うぇぇぇぇん!」
酒場では、まるで番人のように振る舞った。
“ミルクでも飲んでな”と言い続けた。
- 4 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/03/02(月) 22:07:11.749 ID:XkMvhi4Y0
- もちろん、こんなことをやっていたら――
男「ガキは帰ってミルクでも飲んでろ!」
冒険者「悪いが、帰るつもりはない」
男「ンだとォ!?」ガタッ
冒険者「相手になってやろう」
喧嘩になることもある。
- 5 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/03/02(月) 22:10:13.374 ID:XkMvhi4Y0
- 男「あ、がが……」ピクピク
冒険者「ふん……」
ザワザワ… ツエエ… マジカヨ…
無様にボコボコにされたこともある。
だが、そんな惨敗も周囲にはある種の武勇伝として刻まれていき、
いつしか俺は荒くれ者たちの間で、ちょっとした“伝説”になっていった――
- 6 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/03/02(月) 22:11:28.104 ID:/+lMmVALr
- なんでこの人いつもVIPでやってるん
- 7 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/03/02(月) 22:13:07.423 ID:IV6uVLjgr
- 小物界の大物か
- 8 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/03/02(月) 22:14:15.960 ID:XkMvhi4Y0
- ……
……
男「……」
男「……」チビッ
男(不味い……)
男(このところ、体が酒を受け付けなくなってきた……)
男(酒場の主人が気ィきかせて俺の酒は薄めてくれてるけど、それでもキツくなってきたな)
- 9 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/03/02(月) 22:18:06.257 ID:XkMvhi4Y0
- チンピラ「でさぁ~、そこの踊り子が超セクシーなんだよ! ほとんど全裸だしよ!」
ゴロツキ「マジかよ、見てぇ~!」
刺青「もちろんおさわりアリだよなァ!?」
ギャハハハハハ… ワイワイ…
男(若いチンピラどもの話題についていけねえ)
男(俺とつるんでた同年代の連中は、とっくに酒場通いなんかやめちまったから仕方ねえけどな)
- 10 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/03/02(月) 22:21:34.898 ID:XkMvhi4Y0
- チンピラ「おやっさん!」
男「ん」
チンピラ「いつものあれ、やって下さいよー!」
男「……しょうがねえな」
男「ガキは帰ってミルクでも飲んでな!」
ヒューッ! カッケェ! ギャハハハッ!
男「……」
男(尊敬されてんだか、バカにされてんだか……)
- 11 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/03/02(月) 22:24:04.068 ID:XkMvhi4Y0
- 家に帰ると――
男「オエエエエエッ……!」
ビチャビチャビチャッ
男「ハァッ、ハァッ、ハァッ……」
男(今日はほとんど飲んでねえってのにこのザマか……)
男(昔は一晩中飲んだってへっちゃらだったのに、ざまあねえなぁ……)
- 12 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/03/02(月) 22:25:39.451 ID:IV6uVLjgr
- 辛い
- 13 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/03/02(月) 22:26:53.862 ID:1QRKHa3m0
- カキは海のミルク
- 14 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/03/02(月) 22:28:11.644 ID:XkMvhi4Y0
- 男「……」
医者「このままじゃ、あなた死にますよ」
男「そうかい」
医者「まだ間に合います。お酒をやめて下さい」
男「あいにく、やめるわけにはいかねえな」
医者「死にたいんですか?」
男「俺の居場所は……酒場(あそこ)しかねえからな」
男「酒場通いをやめたら、それこそ俺は死んじまうよ」
- 15 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/03/02(月) 22:30:09.344 ID:76z7046b0
- すくーぅぼぅい には みぅくが おにあいだぜ
- 16 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/03/02(月) 22:31:13.598 ID:XkMvhi4Y0
- ……
息子「オヤジ」
男「! 誰かと思えばバカ息子か……久しぶりだな」
息子「ずいぶん痩せたんじゃないか? 顔色も悪い。黒ずんでる」
男「そうか? 元々こんなもんだったぜ」
息子「……」
男「……」
- 17 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/03/02(月) 22:34:33.270 ID:XkMvhi4Y0
- 息子「……お医者さんから聞いたよ」
息子「オヤジ、酒飲むのやめろ。酒場行くのもやめろ」
男「なにをいうかと思えば……やめるわけねえだろ」
男「俺はこの町のアウトローにとっちゃ、神様みてえなもんなんだ」
男「みんなが俺を待ってんだ」
息子「俺もオヤジを待ってるっていったら?」
男「は?」
息子「なあオヤジ……同居しないか」
- 18 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/03/02(月) 22:37:43.671 ID:XkMvhi4Y0
- 男「バカいえ。だいたい、お前がよくっても、お前の女房や子供は嫌だろう」
息子「家族と話はした。かまわないってさ」
男「……!」
息子「なぁ、頼むよ。うちに来てくれ」
男「ケッ……! 俺はお前に、今まで親らしいことは何一つしてやれなかった」
男「それがジジイになったからって、今さら世話になれるかよ」
息子「たしかに……俺だって昔はオヤジのことを死ぬほど憎んだ」
息子「俺と遊んでくれたことなんて、一回もなかったもんな」
- 19 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/03/02(月) 22:40:44.772 ID:XkMvhi4Y0
- 息子「だけど、今は違う」
息子「お袋は、あんたみたいな夫でも愛したまま死んでいったし……」
息子「今は……オヤジに少しでも長生きして欲しいんだ」
男「……」
息子「それに俺だって、酒場を牛耳ってたオヤジの威光を全く利用したことがない、とはいえないからな」
息子「恩返しもしたいんだよ」
男「断る」
男「俺は一人で生きて……一人で死ぬんだ」
息子「……分かったよ。もう何もいわない。邪魔したな」スタスタ
男「……」
- 20 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/03/02(月) 22:42:36.776 ID:vhqSofXU0
- お酒ください!
- 21 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/03/02(月) 22:43:41.234 ID:XkMvhi4Y0
- 男は酒場へ向かう。
ワイワイ… ガヤガヤ…
男(今日は久々に体調がいい……)
男(たまには若い奴らとがっつりと酒を……)
- 22 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/03/02(月) 22:46:43.328 ID:XkMvhi4Y0
- ゴロツキ「あれ? 今日はおやっさん来ねえのな」
チンピラ「いいよ、あんなジジイ。来なくって」
チンピラ「ろくに酒飲まねえし、体悪そうで辛気臭いし、あいついると気ィ使わなきゃなんねえし」
チンピラ「はっきりいってジャマなんだよ」
ゴロツキ「たしかになー。扱いに困るっつうか」
刺青「なにかあるとすぐ武勇伝自慢するしな」
チンピラ「昔はすごかったのかもしんねえけど、いつまでものさばるなってんだ!」
ソウダソウダー! ギャハハハハ… ワイワイ…
- 23 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/03/02(月) 22:49:14.408 ID:XkMvhi4Y0
- 男「……」
男「フッ、そうだったか」
男「俺の居場所なんて、とっくの昔になくなってたってわけかい」
男「……」クルッ
男(俺は……どこへ行けばいいんだ……)フラフラ
…………
……
- 24 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/03/02(月) 22:50:01.792 ID:xioQQn1lr
- サークルのOBやん…
- 25 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/03/02(月) 22:52:29.762 ID:qHQHKd3y0
- お前こんな時間にやめろよ
寝れなくなるだろ - 26 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/03/02(月) 22:53:16.367 ID:XkMvhi4Y0
- 男(さまよってたら、全然知らないとこまで来ちまった……どこだここ?)
モォ~……
男「!」
男(牛の鳴き声……! 牧場のあるとこまで来ちまったか)
- 27 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/03/02(月) 22:55:51.695 ID:XkMvhi4Y0
- 酪農娘「いらっしゃいませー」
男「え」
酪農娘「ミルクいかがですか? 試飲できますよ!」
男「ミルクゥ? 嬢ちゃん、俺を誰だと……」
男(って、こんな小娘に突っ張ってもしょうがねえか)
男「一杯もらおうかな」
酪農娘「はい、どうぞ!」
男(ミルク飲むなんて……それこそ何十年ぶりかな)
- 28 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/03/02(月) 22:57:32.866 ID:0KrLuu4M0
- カルーアミルクに行き着くわけだな
- 29 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/03/02(月) 22:58:32.390 ID:XkMvhi4Y0
- 男「……」グビッ
酪農娘「いかがですか?」
男「……うまい」
酪農娘「よかった!」
男(いつもガキの飲むもんだってバカにしてたが、ミルクってこんなに美味かったのか……)
男(弱り切った体に、牛乳の栄養が染み込んでいく……)
- 30 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/03/02(月) 23:00:09.318 ID:5tPsyQvd0
- ほう
- 31 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/03/02(月) 23:02:02.969 ID:XkMvhi4Y0
- 男「ごちそうさん」
男「しかし、乳搾りってのも結構難しいんだろう?」
酪農娘「そうですね。ただ搾ればいいってものではないんです」
男「コツがいるってわけか」
酪農娘「はい、私の家では長年やっていた搾乳方法があったんですが……」
酪農娘「それだとどうしても、出せるミルクの量が頭打ちになってしまったんです」
酪農娘「牛は100のミルクを蓄えてるのに、60ぐらいしか出せないといった感じで……」
男「そりゃもったいねえな」
- 32 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/03/02(月) 23:03:17.092 ID:GUPJioCtr
- しえん
コメント