なんでパラリンピックっで身体障碍者限定なんだよ？？　知的障碍者や精神障碍者も中身に入れろよ

https://digital.asahi.com/articles/ASN2T357WN2MUTQP016.html

彼女との身長差25センチ人なつっこい小さな「超人」

東京パラリンピック開幕まで25日であと半年。前回のリオデジャ
ネイロ・パラリンピックで金メダルゼロに終わった日本は金20個獲得を目標に掲げる。だが、そこには様々な背景を持つ世界の超人たちが立ちはだかる。
１センチ差、リオで金獲得
取材カメラに向かって、肩を寄せ合う2人の身長差は25センチ。身長140センチのニコ・カッペル（24）は同居する彼女との付き合いについて「手も普通につなげるし、何も問題ないよ」。彼女も「（付き合う相手は）もう少し大きな男性を想像していたけど
彼と話すと楽しいの。アスリートとしても好きだしね」。
初出場の2016年リオパラリンピック陸上男子砲丸投げ（F41）で金メダルに輝いた。同じ低身長症のドイツ選手に憧れ、競技を始めて8年目で世界の頂点に。「2位とは1センチ差。運も味方して、最高のパフォーマンスができた」と振り返る。
人なつっこいキャラが魅力だ。普段の生活で大変なことを尋ねると、「棚の物も踏み台を使えば取れるし、飛行機のエコノミーだって広々使える。みんなが味わう苦痛はないんだから」。背が低いことを個性として笑い飛ばす。
パラリンピックに出場予定の世界の「超人」たち。「野獣」の異名を持つ選手やブラジルが生んだ最強の柔道家らを紹介します。
2連覇を狙う東京。リオ以降、自慢の回転投法の軸をさらに安定させて回転数を増やした。「持てる力を余すことなく発揮したい」
孤児院出身の「野獣」、獲物は7冠
世界で最も有名な車いすランナー、タチアナ・マクファデン（30）。「Beast（ビースト）（野獣）」の異名を持つ彼女だが、3年前の来日時には愛くるしい笑顔を何度も見せた。メダルを手に壮絶な過去も語った。
冷戦末期の旧ソ連・レニングラードで誕生。生まれつき下半身まひで、幼児期を孤児院で過ごした。6歳の時に米国人女性の養子に。経済的事情で「（実母は）障害のある私を育てる環境になかった。うらみもない」。育ての母とは「運命的な出会いだった」。
移り住んだ米国で車いすスポーツと出会った。未知の才能を見つけ、そして花開いたという。2004年アテネ・パラリンピックに15歳で初出場し、16年リオは陸上で金四つを含むメダル6個。東京の目標は、自身のクラス（T54）
で出場可能な100メートル～マラソン（42・195キロ）までの「7種目制覇」と公言する。
世界パラ陸連の公式サイトで昨秋、「大変だとは思うけど、難しい挑戦が好き」と語っている。東京マラソン出場などで親しみのある地で、偉業に挑む。
頭で奏でる理想の形
指先にはカラフルなネイルが光る。ミシェル・アロンソ・モラーレス（25）の左手にはスペイン国旗、右手には出身地のカナリア諸島（スペイン領）の旗があしらわれている。「島のみんなを思い出すと頑張れる。勇気をもらえる」。大舞台はこの「勝負ネイル」で、結果を出してきた。
障害の影響で周囲に溶け込めず、家に引きこもった。7歳で水泳と出会い、信頼できるコーチの下で実力を伸ばした。2012年ロンドン・パラリンピック競泳女子100メートル平泳ぎ（SB14）で金メダルを獲得し、16年リオも制した。
選手の中にはペース配分の加減ができない選手が少なくない。彼女もその一人。だから「体に覚え込ませている」。そう答えると、携帯電話を取り出し、米人気歌手ケイティ・ペリーさんの曲を流し始めた。「このリズムに合わせて練習し、レース中は頭で奏でるの。理想のストローク数になるから」
日本文化を愛する自称「オタク」。来日したら必ず原宿でグッズを買いあさる。3連覇がかかる東京は「とにかく楽しみたい」。
最強柔道家、童心で挑む
ブラジルが生んだ最強の柔道家、アントニオ・テノリオ（49）は青森県で汗を流していた。昨夏行われた日本代表との合同合宿。「若い選手ほどエネルギーはないが、経験でカバーできる自信がある」。一回り以上年下の日本選手たちと次々と組み合った。
10代で両目を失明した。視覚障碍者柔道は障害の程度による区別がなく、弱視に比べて全盲の選手は不利といわれている。だが、そんなハンディをものともしない。1996年アトランタ・パラリンピックから4連覇を達成。2012年ロンドンで銅メダル、自国開催の16年リオで銀メダルを獲得した。
日本で生まれた柔道をこよなく愛する。「助け合うのも柔道の教えの一つ。日本選手を敵と見るのではなく、仲間として受け入れ、ともに成長したい」。合同合宿はみんなでがっちりと握手をかわし、締めくくった。
年を重ねても情熱は衰えない。「試合に出ることが好き。子どものような気持ちで出るよ」。7大会連続のメダルがかかる東京を心待ちにしている。