校長、トラックの運転手に転職して第二の人生を謳歌中🤗

トラック運転手は元校長！ 佐世保の永田さん（６１） 異例の転職、第二の人生でもう一つの夢を

「運転手に憧れていた」。そう言って白い歯を見せる長崎県佐世保市藤原町の永田利彦さん（６１）は、この春まで小学校の校長を務めていた。３８年間の教員人生を全うし、すぐに大型自動車免許を取得、もう一つの憧れだったトラック運転手として日々、汗を流している。「第二の人生」を謳歌（おうか）中だ。

新上五島町の中通島出身。小学５年の時、ソフトボールを始め、所属チームの監督に憧れて「子どもにソフトボールを教えたい」と決意。監督をしながら故郷で働くには教員が最適だと思い、小学校の教員になった。

２０代後半から赴任先の小学校のソフトボールチームで監督を任されるように。管理職になり、監督からは離れたが、子どもたちの応援には足しげく通っていた。今年３月まで２年間、町立有川小の校長を務め、定年を迎えた。

充実した教員生活を送っていたが、永田さんにはもう一つ夢があった。子どもの頃、バスの運転手の後部座席によく乗り、ハンドル操作をまねしていたと振り返る。「大きな車の運転手」への憧れがあり、いつか運転を仕事にしたいと思い描いていた。

定年を意識し始めた５０代後半から、改めて夢を思い起こし、同僚に思いの丈を告げると皆、背中を押してくれた。妻には当初、「いまさらそんなチャレンジしなくても。再任用できるのに」と反対されたが、熱意を伝えると、応援してくれるようになった。「教員としては全てやり遂げた」と、再任用には臨まず、運転手への道を目指すことを決意した。

定年退職後、教職員時代に佐世保市立大塔小に赴任したこともあり、同市に移った。５月、大学生のとき以来となる自動車学校に入校。理由を話すと、教習所の先生たちもエールを送ってくれたという。そして６月３日に大型自動車免許を交付された。

近郊で就職活動を行い、同２４日に冷凍食品の物流などを担う原産業運輸倉庫（東彼川棚町百津郷）に再就職した。約１カ月、先輩たちから荷積み、荷降ろし、伝票管理などを習った。今では１人で運転を任され、熊本まで荷物を運ぶほどになった。

教員からの“転職”に同社事業管理部の川口英寛部長は「相当珍しい」と話す。「未経験だし、年齢のこともあり大丈夫かな」とも思ったが、健康で熱意もあり、採用したという。

現在、週５、６日働く忙しい再雇用生活を送っている。「子どもの成長を見続けられる楽しみが先生にはあったけど、運転手でしか味わえない楽しさを今、感じている」と話す。

ただ「楽しい気持ちだけだと大事故につながりかねない。夢や憧れだけでなく、その職業人としての自覚、覚悟が必要だと子どもたちに分かってほしい」と永田さん。退職した現在も「永田先生」はその背中で、子どもたちに人生の「お手本」を示し続けている。

https://news.yahoo.co.jp/articles/422b1f713f37371113baeb8b8a5872b226be7503