山上の家庭、壮絶すぎる…父が自殺、兄が自殺、母が1億献金して自己破産、母の弟が交通事故で死亡。母親が返金された5000万も献金

Xの伯父によれば、Xの父の自殺と同時期にXの兄が小児がんを患っており[236]、こうしたことが起因し[236]、Xの母親は世界基督教統一神霊協会（旧統一教会、現在の世界平和統一家庭連合〈略称「家庭連合」〉。以下、旧統一教会）に入信した[239][5][6][27]。伯父によれば母親は弟を交通事故で亡くしており、1982年（昭和57年）頃に母親の実母が亡くなったことにもショックを受けていたという[240]。
Xの母親の入信時期は、Xの伯父が母親本人から聞いた話として、1991年（平成3年）だとしている[241][234]。一方、旧統一教会側の発表によれば、1998年（平成10年）頃に正会員となったとされる[242][注 14]。食い違いの理由として、旧統一教会はスポーツニッポンの取材に対し、「入会の記録は、入会願書が受理されたタイミング。基本的には、ご紹介者を契機とした関係の構築や企画への参加というプロセスがあるため、入会以前に関わりがあった可能性はある」としている[241]。
1998年10月に母親は奈良市内2か所にある宅地を母方の祖父[234]から相続するが[100]、それらの土地とXら3人の子供と一緒に住んでいた住宅を1999年（平成11年）6月までに売却。統一教会に対し土地などの売却で得た資金や、夫（Xの父親）の生命保険金5,000万円など合わせて約1億円を献金した[246][247]。Xの伯父によると、Xの母親は1991年の統一教会入会直後に2,000万円、その数日後に3,000万円の献金を行い、1994年（平成6年）頃に1,000万円、1998年以降に4,000万円を献金し、徐々に家計を圧迫したが、旧統一教会側は母親の献金の金額や時期について「確認できていない」としている[248][241][注 15]。
Xと旧統一教会との交流は、Xが高校生の頃から始まった。1998年、母親が通う旧統一教会のセミナーを受けた[249]。Xの母親が通う奈良市内の旧統一教会教会長を務めていた男性によると、Xは母親が信仰する旧統一教会とはどのようなものなのかを確かめるために参加したように映ったとしている[249]。2002年（平成14年）8月、1億円の献金が原因で母親は自己破産した[246][250]。

1999年3月、Xは県立高校を卒業[251]。Xは家庭の困窮により大学に進学せず[注 16]、2002年8月に任期制自衛官として海上自衛隊の佐世保教育隊に入隊。4か月後、呉基地に移り、護衛艦「まつゆき」で艦載兵器を取り扱う砲雷科に配属される[252]。広島県江田島市の第1術科学校の総務課に移り[230]、2005年（平成17年）に任期満了で退職した[227][253][254]。Xの伯父によると、Xは海上自衛隊に所属していた2005年に自殺未遂を起こした[255]。生命保険の受取人を母親から自身に変えた上で[249]、旧統一教会への献金によって生活が困窮した兄と妹に、自身の死亡保険金を渡すことが目的だったとしている[255]。奈良市内の旧統一教会教会長（当時）は、広島で入院していたXを訪ね、「何でこのようなことしたのか」と尋ねると、「少しでも妹の生活の足しになるかと思って」と述べたという[249]。
この頃、Xの一家の窮状を知った教会長を窓口に、Xの親族側と旧統一教会側との献金の返金協議が開始され、Xもこの協議に参加していたとされる[249]。その後、旧統一教会側は2005年から2014年（平成26年）にかけて、計5,000万円を返金したとしているが[248]、親族によればその5,000万円も母親が再び献金したと説明した[256]。返金は月に30万から40万円ほど、現金による手渡しで行われたとされる[249]。
2005年頃、Xは一人暮らしを始め、アルバイトや派遣社員で生計を立てるようになったが、人間関係が良好にいかず、職を転々とした[249]。自衛官退官後から事件までの17年間の勤務先は10社以上で、人間関係で嫌気がさすと次の仕事が決まっていないのに退職する、ということを繰り返しており、無職期間は少なくとも通算約7年に及んだ[257]。退官後最初にした仕事は2006年（平成18年）12月に始めた測量会社のアルバイトであったが、翌年6月に退職[257]。その後の2年半は無職で、この間に測量士補、宅地建物取引士やファイナンシャルプランナーの資格を取得した[251][257]。
2009年（平成21年）には、母親が1998年に親族から経営を引き継いだ[258]建設会社が解散した[259]。Xは事件までの10年ほどは職場を移りつつ、派遣社員としてフォークリフトを使った仕事に従事していた[251]。闘病していたXの兄が2015年（平成27年）に自殺した[232][260][249]。
2020年10月には、大阪府内の人材派遣会社に登録し[251]、同月から京都府内の工場に派遣社員として勤務した[231]。この工場では当初は仕事を的確にこなし、評価も高かったが、2021年（令和3年）春頃からは職場の先輩や社外のトラックドライバーと口論するなどのトラブルも起こしていた[261]。

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あくまで推測だけど