お前ら、船員になれよ。　給料良いし使う機会無いから貯まるぞ。　ワイは20000TEUコンテナ船の一等航海士で年収１２００万だ

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「行くぞ」緊迫の海上救助巡視船長のキャプテンシー

月18日午前11時55分。三重県志摩市の南約400キロを航行中の台湾籍のコンテナ船から、海上保安庁に連絡があった。
「乗組員が右手を負傷した。救助してほしい」
要請は、パトロールを終えて名古屋港に戻った直後だった、名古屋海上保安部所属の巡視船「みずほ」に直ちに伝わった。「よし、行くぞ」。船長の近藤賢二さん（60）の指示で、再び出航。救助活動に向かった。
湾外は大しけだった
みずほは2019年に配備された、ヘリコプターを搭載する最新鋭の大型巡視船。それでも救助は簡単ではなかった。伊勢湾の外は大しけで、格納庫からヘリが出せない。コンテナ船までの距離400キロは、東京と大阪の直線距離より遠い。
北上するコンテナ船との間合いを詰めながら、状況を見極める。航空長らの情報を基に、近藤さんの判断でヘリが出動した。
ヘリがコンテナ船の上空に到着したのは、午後8時55分。つり上げ救助は潜水士など決められた保安官が担う。その潜水士がロープで降下するポイントや、障害物の位置などの安全確認をした後、すぐに救助に入った。
夜の大海原は暗く、風も強い。けが人を乗せたコンテナ船は、指揮所などがある船橋（せんきょう）（ブリッジ）が高く、不用意にヘリが下がれば接触してしまう。高度を保つ分だけロープは長くなり、難しい救助になる。
一つのミスもできないなか、潜水士が降下。けが人をしっかり抱え、ヘリ内の整備士が機械でロープごとつり上げた。午後9時20分、つり上げは成功。けが人は、搬送された中部国際空港から病院に運ばれ、救助活動は無事に終わった。
海ごとに異なる表情
活動の指揮を執った近藤さんは、3月末からみずほの船長になった。これまでも北海道から沖縄まで様々なエリアで船に乗り、海の安全を守ってきた。
一口に海といっても、みせる表情は様々だ。日本海は冬場は荒れ、瀬戸内海は潮の流れが速い。積み重ねた経験から、各地の海の性格を把握する。みずほが主に活動する、第4管区海上保安本部の担当海域は、愛知県や三重県沖。
東京湾や大阪湾と同様に、行き交う船も多い。「航行船舶が多い分、事故が起きやすいから、より注意が必要です」
近藤さんは高校時代、海上保安大学校のキャッチコピー「海から人を守る、人から海を守る」にひかれ、進路を決めた。卒業後、1984年から海上保安官として勤務する。
目指すは「自主的に動けるチーム」
海上保安庁の活動にも色々ある。高知海上保安部の巡視船に乗っていた時は、見慣れない船を発見。調べると、密航者約60人が乗っていた。2016年から船長を務めた海底の測量船では、噴火で大きくなった西之島（小笠原諸島）の新たな海図作成にも携わった。
いま指揮を執るみずほは乗組員56人の大所帯。航海士やヘリの整備士、調理を行う主計士など、様々な仕事を担う仲間が乗り組む。いったん港を離れると、1週間以上も陸に戻らないことも。大勢の乗組員を束ねるモットーは「むちゃを言わないこと」。
キャプテンが余計なことを言わなくても、自主的に動けるチームを目指している。
とはいえ、みずほには不審船からの攻撃などに備えて機関砲も備えており、常に不測の事態を警戒する必要もある。「チームが正しい方向をむいているかは、ちゃんと見守らないと」。
気が抜けない洋上での任務のなか、休憩中にスマートフォンで家族の写真を眺める時間が、ほっと一息つけるひとときだ。（吉田貴司）
海上保安官になるためには
海上保安官になるためには、海上保安学校か海上保安大学校を卒業するという、主に二つの道がある。
海上保安学校は、入学時から専門課程に分かれ、1～2年の教育課程を経て、巡視船や海上保安部など各部署へ配属される。一方、海上保安大学校は幹部養成が目的で、4年9カ月のカリキュラムがある。基本的な教養を学んだ後に、機関や航海、情報通信などの専門課程に分かれる。
このほかに今年度から、一般大学を卒業する学生らを対象とした、新たな採用区分を設けた。海上保安大学校で2年間の研修を終えてから海上保安官となる流れで、今年度は約30人を採用する予定だ。
こうした新しい採用を行う背景には、民間企業と同様、少子化を背景とした人材獲得競争がある。最近は領海警備の強化などで増員傾向にある一方、全国転勤などが進路決定のハードルになりがちだ。入庁の間口を広げることで、より優秀な人材を幅広く獲得する狙いがある。