- 1 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 20:32:03.203 ID:6mKKje330
- 勇者「あの店で万引きしてこいや」
魔王「はい、分かりました!」
勇者「いいか、スケ・ベーが描いた画集を万引きしてくるんだぞ。間違えるなよ」
勇者「表紙に色っぽい姉ちゃんが描いてあるやつだぞ」
魔王「大丈夫です!」
勇者「よしっ、行ってこい!」
魔王「はいっ!」タタタッ
- 3 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 20:35:28.115 ID:6mKKje330
- ―店―
店主「お、君は魔王君だね。いらっしゃい」
魔王「こんにちは!」
魔王「あの、万引きしてもいいですか?」
店主「え。いや、それはちょっと……お金はもらわないと……」
魔王「じゃあ、これお金です」ジャラッ
店主「え、こんなに……」
魔王「このスケ・ベーさんの画集を万引きさせてもらいますね。失礼します!」
店主「……」
- 4 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 20:36:52.561 ID:jT9ghQnWp
- なぜファンタジー?
- 5 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 20:38:40.201 ID:6mKKje330
- 勇者「どうだ、やってきたか」
魔王「はい、どうぞ」
勇者「おほっ! スケ・ベーは相変わらずいいヌード描きやがる。今夜のオカズは決まりだな」パラパラ
勇者「で、バレなかっただろうな」
魔王「はい、ちゃんとお金を払ってから万引きしたんで大丈夫です」
勇者「ハァ? バカか、それじゃ万引きじゃねえだろうが!」
店主「やっぱりお前がやらせたのか、勇者!」
勇者「!」ギクッ
- 6 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 20:42:12.622 ID:6mKKje330
- バキッ!
勇者「おげえっ!」
勇者「な、なにもいきなり殴ることはねーだろうが!」
店主「お前が仮にも世界を救った勇者でなきゃ、もっとボコボコにしてるわ!」
店主「しかも、よりによってスケ・ベーの画集って……なに考えてんだ!」
勇者「俺だってたまには発散したいんだよ! 文句あっか!」
店主「文句しかねえよ! 発散させたいならそういう店にでも行けや!」
勇者「勇者なんだからもっとサービスしろってクレームつけたら、出禁になっちまったんだよ!」
ギャーギャー!
魔王「……!」オロオロ
- 7 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 20:45:09.827 ID:6mKKje330
- 勇者「ちっ、うるせーな……反省してまーす!」
店主「全然してないだろ!」
ギャーギャー!
魔王「どうしよう……」
姫「あら、魔王君。あの二人はなにしてんの?」
魔王「姫様! それが……ボクが万引きを失敗してしまったせいで……!」
姫「……詳しく教えてもらえる?」
- 8 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 20:46:28.429 ID:Qby1x9XX0
- 勇者は陽キャDQN
- 9 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 20:48:22.473 ID:6mKKje330
- 店主「これは姫様!」
勇者「ゲ、姫!」
姫「ご主人、このクズの始末はきっちりつけておくから、店戻っていいわよ」
店主「姫様がそうおっしゃるなら……」
姫「ったく、こんな子供に万引きさせるなんて、“歴代最低のクズ勇者”の評判は伊達じゃないわね」
勇者「誰が最低のクズだ、コラァ! もっぺん言ってみろ!」
姫「“歴代最低のクズ勇者”」
勇者「ホントに言うんじゃねえよ!」
- 10 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 20:51:16.681 ID:6mKKje330
- 勇者「お前こそ“歴代最低のブス姫”のくせによォ!」
姫「誰がブスよ!」
バチィン!
勇者「ゲボォッ!」
勇者「いきなりビンタすんなァ!」
姫「オッホッホ、ごめんなさい。蚊が止まってたの。こーんくらい大きいやつが」
勇者「ウソつけやァ!」
- 11 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 20:52:18.026 ID:j0M7Sdixr
- 姫様強い
- 12 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 20:54:26.929 ID:6mKKje330
- 勇者「歴代最低のじゃじゃ馬が……」ボソッ
バチィンッ!
勇者「ぎゃぶぅ!」
勇者「ビンタじゃなく口で返せよ! 今時暴力女なんざ流行らねーぞ!」
姫「流行りなんざどうでもいいわ。今度はパーじゃなくグーでやったげましょうか?」
魔王「二人とも、やめましょうよ! ケンカはダメですよ!」
姫「魔王君がそういうなら」
勇者「姫が勇者を殴って魔王が止める……どうなってんだこれ……」ブツブツ
- 13 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 20:57:36.483 ID:6mKKje330
- 姫「この世界ではずーっと人と魔族の争いが続いてた。きっかけが何かすら分からないくらい永く」
姫「あんたの一族も、代々勇者として戦ってきたわけだけど……」
姫「今の勇者であるあんたが魔族のボスである大魔王と戦って……」
勇者『ハァ、ハァ……あのさぁ。もうキリないし、手打ちにしねえ?』
姫「ようやく、私らと魔界の和睦が成立した。これは紛れもなくあんたの手柄よ」
勇者「俺ってホント偉いよな。偉大すぎる。もっと崇めろ奉れ。ついでに王様にしてくれ」
姫「黙れ」
姫「その後、大魔王は友好の証として“しばらく我が子である魔王に人の世界を体験させてくれ”ってことになった」
勇者「そうだよ。で、俺んちにホームステイしてる」
姫「なのに、万引きなんてさせてどーすんのよ! 台無しじゃないのよ!」
勇者「……」
- 14 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 21:00:26.214 ID:6mKKje330
- 勇者「まあ聞けよ。俺にだってちゃんと考えはある」
姫「考え……?」
勇者「魔王たる者、武勇伝の一つや二つ必要……」
姫「そんな理由かいっ!」
ベチィンッ!
勇者「きゃばぁっ!」
魔王「勇者さん、大丈夫ですか!」
勇者「大丈夫じゃねえよ! ……今日はもう帰る! 帰ってメシにすんぞ!」
魔王「はいっ!」
姫「メシ? 私もお呼ばれしよっと」
勇者「あーあ、二人分だったのが四人分作らねえと」
姫「そんなに食べないわよ!」
- 15 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 21:01:03.483 ID:pmHlSNBx0
- 読んでるぞ
がんばれ - 16 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 21:03:10.068 ID:6mKKje330
- ―勇者の家―
勇者「ふんふ~ん」グツグツ…
姫「まだー?」チンチン
魔王「食器を叩くのは行儀がよくないので、控えた方がいいかと……」
姫「あらやだ、ごめんあそばせ」ポッ…
勇者「ケッ、姫が魔王にマナー指導されてちゃ世話ねーな」
姫「ほっといてよ!」
- 17 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 21:06:21.980 ID:6mKKje330
- 勇者「ほら、シチューだ」
姫「おっ、うまそう!」
魔王「いつもながら、勇者さんのお料理は匂いも見た目もおいしそうです!」
勇者「だが、肝心なのは味だ……ご賞味あれ」
姫「いただきまーす!」ガツガツ
姫「おーいしー!」
魔王「おいしいです!」
勇者「そうだろう、そうだろう」
- 18 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 21:09:24.249 ID:6mKKje330
- 魔王「……」ハフハフ
姫「おかわり!」
勇者「食うのはえーな。ちゃんと噛めよな。シチューは飲み物じゃねーんだぞ」
姫「なんであんたって料理は上手いの? クズのくせに」
勇者「メシを食うって行為は、生き物にとっちゃ最も楽しい時間に他ならねえ」
姫「まあ、そうかもね」
勇者「戦いや人助けは手を抜いても、メシだけは手を抜かねえのが俺の主義だ!」
姫「前半は聞かなかったことにしといたげるわ」
- 19 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 21:12:33.268 ID:6mKKje330
- 姫「ふぅ~、おいしかった」
魔王「ごちそうさまでした」
姫「んじゃ、私も帰るわね」
勇者「おう、王様によろしくな。俺のこと次期王に推薦しといてくれ」
姫「シェフとしてなら推薦してあげる」
勇者「え、マジ? それでもいいよ」
姫「あんたにゃ勇者って立場に誇りはないの?」
勇者「ない!」キリッ
姫「こいつ……言い切りやがった……」
姫「ああ、あとシチューのお礼ついでに一つ真面目な忠告しとくけど」
勇者「なんだよ」
- 20 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 21:15:21.307 ID:wP7W8wnc0
- おもしろい
- 21 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 21:15:36.631 ID:6mKKje330
- 姫「私たち人間の中にも、魔族や、和解のきっかけを作ったあんたを快く思ってない人がいる」
姫「だから……気をつけなさいよ。この城下にも、過激な一派が潜んでるっていうし」
勇者「大丈夫さ」
姫「どうして?」
勇者「お前が……守ってくれるんだろ?」
姫「なんで私が守るのよ!」
勇者「だって強い者は弱い者を守らなきゃ」
姫「ふざけんな!」
バタンッ!
- 22 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 21:18:25.830 ID:6mKKje330
- 魔王「……勇者さん」
勇者「ん?」
魔王「今、姫様がおっしゃってたことは……本当ですよね」
魔王「ボクのことを嫌ってる人もきっと……」
勇者「そりゃいるだろうな」
魔王「!」
魔王「ボクはどうすればいいでしょうか……」
勇者「どうもしなくていいんじゃねーの?」
魔王「えっ、どうしてですか!?」
- 23 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 21:21:45.113 ID:6mKKje330
- 勇者「魔族が嫌いだっていわれて、お前は魔族をやめれんのか? 自分を人間に改造すんのか?」
魔王「いや、それは……」
勇者「だろ?」
勇者「俺に至っては、もはや俺のこと好きな奴がいるのか怪しいレベルだ」
魔王「え、姫様は勇者さんが好きでしょう?」
勇者「ないない! ありえない! 好きな奴にビンタかます女がいるかよ!」
魔王「嫌いな人の料理を食べる女性もいないと思いますけど」
勇者「つか、んなこと考えてると若いのにハゲるぞ! いや、魔族にハゲってあんのか?」
勇者「お前はちったぁ嫌われる努力すること考えろ! いい子すぎんだよ!」
魔王「は、はいっ!」
- 24 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 21:24:20.485 ID:6mKKje330
- ……
勇者「あそこに家があるだろ」
魔王「はい」
勇者「あそこには結構可愛い子が住んでてな……」
勇者「今下着を干してるから、そいつを頂いてこい」
魔王「分かりました!」タッ
勇者「むふふふ……」
- 25 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 21:25:27.524 ID:j0M7Sdixr
- 今度は下着ドロか
- 26 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 21:27:05.812 ID:6mKKje330
- 魔王「あのー」
町娘「あら、魔王君だよね? どうしたの?」
魔王「下着を盗みたいんですけど……」
町娘「うえぇ!?」
町娘「小さな子に何させてるんですか!」
勇者「いや、違うんだ……。汚れてるから俺が洗ってあげようと……」
町娘「洗って干してたとこですよ!」
- 27 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 21:30:05.571 ID:6mKKje330
- 魔王「あのー」
チンピラ「あん?」
魔王「バ……バーカ!」
チンピラ「……」
チンピラ「やっぱてめえが言わせたのか! あんなガキに何させてやがる!」
勇者「魔王たる者、ケンカの一つも売れないとと思ってさ……」
- 28 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 21:33:04.549 ID:XJ9XS3JM0
- しえん
- 29 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 21:33:19.989 ID:6mKKje330
- 勇者「ったく、全然悪さできねえな、お前は」
魔王「すみません……!」
勇者「もういい。今日は帰るぞ。うまいメシ作ってやる」
魔王「本当ですか! やったぁ!」
コソッ…
黒装束A「……」
黒装束B「……」
- 30 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 21:38:01.997 ID:6mKKje330
- ―勇者の家―
勇者「あー、やべーな」
魔王「どうしました?」
勇者「材料がねーわ。もう何日か分はあったはずなんだが……計算が狂った」
勇者「多分姫のせいだな……あいつ食いすぎなんだよ。今度請求してやる」
魔王「じゃあ、ボクが買ってきますよ」
勇者「お、わりぃな! じゃあメモ書くから、ちゃちゃっと行ってきてくれ!」
魔王「はいっ!」
- 31 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 21:41:06.977 ID:6mKKje330
- 店主「毎度ー!」
魔王(ボクをホームステイさせてくれてる勇者さんのためにも、少しでも役に立たないと……!)
魔王(それに、勇者さんは嫌われろっていうけど、町の人達とも仲良くなりたい……!)
魔王「ええと、次はお肉を……」
「おい」
魔王「はい?」
- 32 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 21:44:16.718 ID:6mKKje330
- ガシィッ!
魔王「もご……」
黒装束A「捕まえたぜ……薄汚い魔族が」
黒装束B「ちょいと付き合ってもらおうか」
魔王(なんだ、この人たちは……!)
…………
……
- 33 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 21:46:38.557 ID:XJ9XS3JM0
- し
- 34 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 21:46:51.835 ID:LPXDzb1XM
- 続けて
- 35 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 21:47:09.605 ID:GbSDW1se0
- やっと本筋入ってきたな
- 36 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 21:47:37.001 ID:6mKKje330
- ―勇者の家―
勇者(魔王の奴、遅いな……なにしてんだ。俺のお料理したいゲージはとっくにMAXだってのに)
ドンドンッ
勇者「ん?」ガチャッ
勇者「姫じゃねえか、どうしたんだ」
姫「大変よ! 魔王君が……!」
勇者「……?」
- 37 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 21:49:09.304 ID:r3w9F7nC0
- 面白い
- 38 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 21:50:36.122 ID:6mKKje330
- ―廃屋―
リーダー「王国に告ぐ!」
リーダー「我らは魔王を人質に取った! こいつを殺されたくなくば、魔族との和解を撤回しろーっ!」
黒装束A「撤回しろーっ!」
黒装束B「撤回しろーっ!」
魔王「んーっ! んーっ!」
ザワザワ… ドヨドヨ…
姫「ほら見て! 過激派グループが立てこもってるのよ!」
勇者「あのバカ、捕まっちまったのか。魔王がさらわれるって傑作だな!」ケラケラ
姫「笑ってる場合じゃないでしょ!」
- 39 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 21:53:34.139 ID:6mKKje330
- 姫「ああいう連中がいるってちゃんと忠告したのに、なんでこんなことになるのよ!」
勇者「いやぁ~、まさか一人でおつかいしてるとこを狙うとはね。敵ながらあっぱれ。賢い」
姫「感心してないでよ!」
姫「魔王君、あの性格だしきっと怖がってる。あいつらも何しでかすか分からないわ……」
姫「すぐ助けないと!」
勇者「……」
勇者「ほっとけよ」
姫「え!?」
- 40 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 21:56:42.161 ID:6mKKje330
- 姫「な、なんで……なんでそんなこというの!」
姫「あんたはどんなにクズでも、やる時はやる奴だって信じてたのに!」
勇者「そりゃな。やる時はやるさ。だが、今はやる時じゃねえ」
姫「どういうことよ!」
勇者「あいつは魔王だぜ? 大魔王がくたばったら、いずれ魔族の長になる存在だ」
勇者「あんな連中ぐらい自力でどうにかできなきゃ、未来はねえよ」
姫「だ、だけど……まだ子供じゃない!」
勇者「子供だからだよ。今が一番肝心なんだ」
姫「……!」
姫「あんたが何をいおうと、私は行くわ! 必殺のビンタであいつらなんか――」
勇者「やめろ」
姫「!」ビクッ
- 41 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 21:57:41.062 ID:EskCwx9Kr
- ④
- 42 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 22:00:38.767 ID:6mKKje330
- 勇者「お前はあまり知らないだろうが、魔族ってのはどれだけ集団として成熟しても」
勇者「根っこには“強い奴・悪い奴を尊敬する”ってのがある」
勇者「よわっちい奴、悪さもできねえ奴はナメられちまう」
勇者「これは生き物としての本能みたいなもんで、あいつらが野蛮とかそういうわけじゃねえんだ」
勇者「まして上に立つならなおさらだ。時にはゲスな決断しなきゃならねえこともある」
勇者「お前の親父である王様だって、決して真っ白じゃねえだろう?」
姫「そりゃそうだけどさ……」
勇者「だから、あいつも魔王として生きるなら、ちったぁ悪さができなきゃいけないんだ」
勇者「できないならいっそ、ここで死んじまった方が幸せだ」
- 43 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 22:04:09.175 ID:6mKKje330
- 姫「そっか……だからあんたはあの子に万引きさせたりしたの」
勇者「その通り! 俺としてもやりたくなかったんだが、全てはあいつのためだったのだ!」
勇者「くぅ~、この心意気! あえて悪を演じる深謀遠慮! まさに現代に舞い降りた聖人……」
姫「……」
姫「絶対私利私欲も混ざってるでしょうが、このクズ!」ギュッ
勇者「あだっ!?」
姫「万引きさせるより、もっといい方法あったはずだしね!」ギュムウウ…
勇者「痛い痛い痛い! すいませんごめんなさい! わたくしのスケベ心でやらせた部分もございます!」
- 44 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 22:06:47.315 ID:7aYQDda00
- 見てる
- 45 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 22:07:12.996 ID:6mKKje330
- 勇者「おい、魔王っ!!!」
勇者「いっとくが俺も姫も助けねえぞ! 死にたくなきゃてめえでどうにかしろ!」
ザワッ… ドヨドヨ…
魔王「……!」
リーダー「な、なんだと……!? 見捨てる気か! くそっ、しょせん魔族と和解を選んだクズ勇者か……」
- 46 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 22:10:07.842 ID:6mKKje330
- 黒装束A「どうします?」
黒装束B「こいつはもう、人質になりませんよ!」
リーダー「予定より早いが……仕方ない、殺せ」
魔王「!」
リーダー「殺して首を大魔王に送りつけてやれば、和睦の話はなかったことになるだろ」
リーダー「そうなれば、また魔族との戦いの歴史が再開される!」
リーダー「かりそめの平和は終わりを告げるのだ!」
魔王「……!」
- 48 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 22:13:31.355 ID:6mKKje330
- リーダー「戦いが始まったら、混乱のさなか、あのクズ勇者も殺してやる」
リーダー「新しい勇者は……もちろんこの俺だ!」
黒装束A「そしたら俺を仲間にして下さい!」
黒装束B「ぜひ!」
リーダー「任せておけ。新生・勇者パーティーは魔族を根絶させるまで戦うのだァ!」
ワイワイ…
魔王(勇者さんを……56す? 魔族を……根絶? そんなこと、させるもんか……)
魔王(絶対に……!)
魔王(絶対にさせないッ!)
- 49 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 22:17:02.650 ID:6mKKje330
- 魔王「むうんっ!」
ブチブチッ!
リーダー「えっ?」
黒装束A「拘束が……!」
黒装束B「な、なんで!?」
ドヨドヨ…
魔王「あなたたちがボクを嫌いなのはしょうがないけど……勇者さんに手を出すのは許せない!」
魔王「戦いだってもうこりごりだ!」
魔王「だからボクは……あなたたちを倒す!」
リーダー「倒すだと!? 笑わせるな、お前のようなガキに何ができる!」
- 50 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 22:20:03.676 ID:6mKKje330
- 魔王(ボクにだって……父上から受け継いだ魔力がある……)
魔王(それを一気に――)
リーダー「かかれっ!」
魔王「うわああああああ!!!」
リーダー「ちょっ――」
ドゴォォォォォンッ!!!!!
- 51 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/07/06(月) 22:23:11.119 ID:6mKKje330
- シュゥゥゥゥ… パラパラ…
ザワザワ… ガヤガヤ…
姫「ウソ……建物が吹っ飛んじゃった」
勇者「……」ニヤッ
勇者「やればできるじゃねえか」
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