「アベノミクス」で投資対象と化したマンション。ローンの低金利が続き「年収の12倍」借りる20代チャレンジャーまで出現

「アベノミクス」で投資対象と化したマンション　ローンの低金利が続き「年収の12倍」借りる20代まで出現

東京23区の新築マンションは、今や億ションが当たり前となっています。「高すぎて住めない」との声も聞こえます。いったい誰が購入しているのでしょうか。
高騰が続く東京のマンション価格の背景を追いました。

◆「こんなに貸してくれるなんて、逆に怖い」
東京都内でマンションを探していた30代の会社員、山口美咲さん（仮名）は今年の春ごろ、どれくらいのローンを借りられるものなのか、金融機関に相談して驚いた。

夫婦合わせた世帯年収の約10倍だったからだ。
数カ月たって購入を決めたマンションの価格は、世帯年収の8倍。「かなり背伸びしている」と感じたが、それでも大手銀行のローンの審査が下りた。

銀行の担当者に、恐る恐る「限度額いっぱいまで借りても大丈夫なんでしょうか」と質問すると、「これくらいの年収なら問題ないです」と返ってきた。

「昔は5～6倍が相場と言われていましたが、今は物価も上がっていて、7～8倍でお貸しすることが多いです」とのこと。

担当者の「駅近の物件ですし、買ったときより値上がりするでしょう」という後押しもあり、山口さんは、限度額の世帯年収の8倍まで住宅ローンを組んだ。

しかし、山口さんはマンションを購入した今も不安がよぎる。「こんなにも貸してくれるのだと思うと、逆に大丈夫なのかと怖いぐらいです」

◆「過去10年のアベノミクスの影響だ」
記者も都心マンションのモデルルームを訪ねたとき、案内してくれた大手不動産会社の男性社員から、こう聞かされた。「（購入者の）ほとんどは年収の10倍とか。20代で年収の12倍の住宅ローンを組んでいるケースもある」

潤沢な融資が、旺盛なマンション購入欲を支えている。

「過去10年のアベノミクスの影響だ」

不動産投資家で賃貸ビルやマンション経営を行う「コアプラスホールディングス」（東京）社長の玉川陽介さんは、こう指摘する。

当時の安倍晋三首相による金融緩和と財政出動を軸にした経済政策「アベノミクス」では、国債を日銀が大量に引き受け、金融機関にお金を大量に放出してきた。

10年間にわたって市中にお金があふれる状態を続けて、金利を低水準に抑え込んだ。低金利で借りたお金で不動産投資を行うことで高い利回りを狙う投資家も増えた。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/448267