セックスや結婚したい女子アナ　僕は島本 真衣(まいぷー)

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あだち充に「わかってない」　炎上しない島本和彦の人柄

６月３０日付の本紙朝刊Ｒｅライフ面「輝く人」のインタビューで、漫画家、島本和彦さん（５８）にお会いした。記者は、１９８０年代のデビューのころの作品から、腹を抱えて笑わせてもらってきたファンだ。

　２０１５年に小学館漫画賞を受け、いまも連載中の作品「アオイホノオ」は、自身が大阪芸術大学に通いながらプロをめざしていたころをモデルとする自伝的作品だ。当時、頭角を現し始めたクリエーターたちが実名で登場し、主人公は「上から目線」で、嫉妬交じりの批評を連発する。

「全然わかってない」
　たとえば「タッチ」などの野球漫画で知られる、あだち充さんには「野球漫画の描き方が全然わかってない」と言い放つ。「めぞん一刻」などを手がけたラブコメディーの達人、高橋留美子さんには「タイミングだけで生きている」。数々のヒット作を残した「大御所」たちに手厳しい。

　それでも批判合戦のようなことは起きない。なぜ「炎上」しないのですか、と聞いてみた。

　島本さんは「みんな私のことをうらやましくないからでしょう」とまじめな顔で答えた。いやいや、と返すと言葉を継いだ。

　「ちょっと心がある人なら愛情表現とわかるはずです。こきおろすようなことは、自分にも誰にとってもプラスになりません。私は、いじりがその人のプラスになると思う時だけ、いじります」

思いと人柄
　どこかのパワハラ上司が使ったら危なそうな言葉だが、島本さんから聞くと説得力がある。

　デビューから３７年。必ずしも順風満帆ではなかったが、つねに漫画への思いがほとばしる人柄が同業者にも愛され、「敵」がいない。だからこそ「アオイホノオ」を描けた、という評もある。

　読めば悪意がないことはわかる。それでも、作品は慎重に送り出していることをご本人に確認できたのは大きかった。お互いの主張を言い合うだけになりがちな風潮の中で、大切なことを守り続けているようにもみえた。

　「熱血」が売りの島本作品では時々、大きな背中の師匠が主人公の成長を促す。記者も、背中を見せてもらった気になった。