哲学者「金持ちと名乗れるのは月収630万円から」

ジジェクが語る「群衆のなかに独りでいる幸せ」

スロベニア・リュブリャナの空模様は、「暗い色のスープのように、気を沈ませ、灰色で、雲が立ち込め、不明瞭」だ。新型コロナウイルス感染症の急増をもってしても、そこでは屋外での生活が続いている。

「誰も外出制限など意に介していない。この街がパンデミックによって無人になったことは一度もない」

そう語るジジェクは、中流階級の家庭に生まれ （父は経済学者、母は 会計係だった）、生地リュブリャナで哲学と社会学を学んだあと、パリ大学で精神分析学を学んだ。彼が「無人の街」を最後に見たのは19歳のときのことだ。1968年に旅行でプラハを訪れていた際、ソ連侵攻に遭遇した。

「とてもシニカルな記憶がある──私は中央広場の菓子店にいて、苺のケーキを食べながら、デモ参加者たちが兵士に向かって石を投げているのをのんびりと眺めていた。なんて酷くブルジョア的なんだ！　私は金持ちを軽蔑視する偽物の左翼ではない。労働者階級には、遺産相続を夢見ることに罪悪感を持つ人なんかいないよ」

ジジェクは最近、友人たちとどれだけの金があれば「金持ち」といえるかについて議論した。そして、ある数字に達した──月々5万ユーロ（約630万円）だ。

「色々な場所に家を持ち、飛行機はファーストクラスに乗るだろうな……セントラルパークの真正面にあるコンドミニアムの30階に住みたい。隣人たちとは、礼儀正しく互いに干渉せず、管理人が万事に対応してくれる。私は上階で隔離されて暮らすが、エレベーターで店やカフェには出かける。私は群衆のなかに独りでいるのが好きなんだ」

ジジェクは世界中を旅してきた。コロンビア大学からソウル大学まで、さまざまな大学に招かれて講演をしている。いつも数千人の信奉者が集まるが、彼はホテルの部屋に留まっていることが多い。大都市の中心や、どこか遠くの場所でのみ、自分はある程度幸せでいられるのだと彼は言う。

たとえば、北極海に浮かぶスバールバル諸島（ノルウェー）の小屋──「そこには苔と氷しかない。そう、私は極端な人間なんだよ」

https://courrier.jp/news/archives/232600/

ＤＮＡ調べたら、地球人全員血、つながってるんだとよ！家族じゃん！