なんで男子トイレはおばさんが掃除してるのに女子トイレはおじさんが掃除しないの？

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３０年悩まされた便失禁：試した治療法、効果なく

　子どもの頃から「食べると便が漏れる」症状に悩んでいた関東地方の女性（３８）は２０１５年、排便トラブルの専門外来に通院を始めた。

　まずは、便失禁の初期治療として飲み薬が処方された。腸内で水分を吸収して便の状態を整えるポリカルボフィルカルシウムを試したが、かえっておなかが張って苦しくなり、すぐに中断した。

　直腸の粘膜が体の外に出てしまう「直腸粘膜脱」もあったため、９月に手術をした。ナプキンに粘液がつくことはなくなったが、便失禁は改善しなかった。

　１６年には、仙骨神経刺激療法を試した。おしりに心臓のペースメーカーのような装置と電極を埋め込み、仙骨神経を刺激することで排便機能を回復させる治療法だ。電極を差し込む手術をうけ、試験的に２週間、体外式の刺激装置を腰のバンドに巻いて過ごした。

　だが、便の漏れは改善しなかった。この治療法も断念した。

　主治医の味村俊樹（みむらとしき）さん（５７）＝現・自治医科大学外科教授＝から、残る選択肢としては人工肛門（こうもん）の造設か、盲腸に穴を開けて体の外から洗腸液を入れて便を洗い流す「順行性洗腸法」があるという説明を受けた。「もし希望されるなら、受診してください」

　選ぶなら、人工肛門だなと思った。でも抵抗があった。パウチの部分から便が漏れないだろうか、ケアも大変かもしれない……。そう考えると、食事の度に便を処理する今の生活でいいと思えた。

　「便失禁は治らなかったけれど、原因がわかっただけでもよかった。この体で生きていこう」。そう決めて、通院をやめた。

　介護職員の仕事は続けていた。失禁のことは誰にも伝えていなかったが、「トイレに行く時間が多い」と注意を受けることもあった。同僚から、嫌みを言われることもあった。悔しかったけれど、「この仕事しかない」と思って、歯を食いしばって働いた。

　１年後。スマートフォンに見覚えのない番号から着信があった。「誰だろう」としばらく悩んだ末にかけなおすと、味村さんにつながった。「よくかけてくれたね」と高揚した声が聞こえてきた。「難治性の便失禁患者さん向けの新しい治療法の臨床研究が始まるんだ。参加してみませんか？」

　その場で「はい」と答えた。