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在宅でオフィス縮小加速　さくらインターネットは9割減

新型コロナウイルス禍での在宅勤務の普及などを受けて関西の企業で大阪市内のオフィスを縮小する動きが広がっている。さくらインターネットが本社を従来の10分の1に縮小移転したほか、関西電力も拠点を集約する。2022年春から大型オフィスビルの新規供給も本格化し、空室率の上昇が続く見込みだ。

さくらインターネットは1日、大阪本社をJR大阪駅近くの複合施設「グランフロント大阪」から梅田のビルに移転した。オフィス面積は従来の約2800平方メートルから10分の1になった。20年からテレワークを前提とした働き方に移行しており、出社率は約1割にとどまる。

田中邦裕社長は「オフィスを作業する場所ではなく、人が集まる場所と位置づけた」と話す。新オフィスでは社員同士や顧客との打ち合わせ、イベントに使うスペースが大半を占める。梅田周辺ではオフィスビルの開発が進んでおり、新型コロナの感染収束後によりアクセスのよいビルへ本社を再移転することも検討する。

阪急阪神百貨店を傘下に持つエイチ・ツー・オーリテイリング（H2O）は22年夏をめどに本社を移転し、オフィス面積を4割減らす。在宅勤務など働き方の見直しやペーパーレス化を進める。

分散していた拠点を集約する動きもある。関西電力は8月、大阪市内の別々の賃貸ビルに入居していた2事業部の約500人を中之島の本店ビルに集約した。フリーアドレスの拡大や在宅勤務の浸透などで必要な固定席が減った。空きスペースを有効活用し賃料を削減する。今後はグループ会社の拠点の本店への統合を検討する。

パナソニックは北浜で借りているオフィスビル10フロアのうち3フロアを22年中にも解約する。企業向けシステム事業の間接部門を京橋にある同事業の拠点に移した。拠点を集約し賃料を抑えるほか、社内の意思疎通を円滑にする。新型コロナ禍前から進めていたオフィス再編の一環という。

三鬼商事（東京・中央）の小畑大太・大阪支店長代理は「東京ほど動きは活発ではないが、大阪でもここ数カ月でオフィスを解約する大手企業がでてきた」と話す。新型コロナ禍で東京のオフィスを縮小した企業が、22年以降に大阪など地方都市のオフィスを見直す可能性もあるという。

大阪の9月空室率4.33%に上昇
大阪中心部のオフィス空室率は20年から上昇傾向にある。三鬼商事が7日発表した9月の空室率は4.33%と前月から0.06ポイント上昇した。17年4月以来の高水準だ。平均賃料は3.3平方メートル当たり1万1818円と小幅な下落が続いている。

東京都心5区（千代田、中央、港、新宿、渋谷）の9月の空室率は、6.43%と1年で3ポイント上昇したのと比べると、大阪は上昇ペースが遅い。ただ、22年には大阪駅前の「大阪梅田ツインタワーズ・サウス」や「日本生命淀屋橋ビル」などが完成する。不動産サービス大手のジョーンズラングラサール（JLL）によると、大阪中心部のオフィス供給面積は21年の3倍の約15万8000平方メートルになる見込みだ。

JLL関西支社の山口武氏は「業績が好調な企業などオフィスを増床する動きもある一方、新規供給が本格化し空室率の上昇傾向は続く」と指摘する。

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