世界的な金属価格の高騰で国内での蛇口などの金属盗難が激増中！ 識者｢今あらゆる金属が高値｡1年前より価格が2倍になった金属も｣

県によると、今年度は２１日現在で約９２０個に上り、被害発生のペースは昨年度の７倍を超える。

金属価格が高騰しており、売りさばく目的で盗まれたとみられる。
稲作農家の目が行き届かない農閑期は、被害が拡大する恐れがあるとして、県や県警は対策や注意を呼びかけている。

「一晩で全部盗まれた。災害級だ」。行方市の麻生西部２期土地改良区の理事長・根本 欣修よしただ さん（７６）は、ため息をつく。
同改良区では１月３１日夜から２月１日朝にかけ、６８個の蛇口が盗まれた。

根本さんによると、イチゴ農家が１日早朝、水田の近くにある給水設備で、蛇口がなくなっていることに偶然気づいた。
蛇口につながるプラスチック製のパイプが壊されるなどし、蛇口が持ち去られていたという。

蛇口は真ちゅう製で、１個約５０００円。被害額は約３４万円に及ぶ。

県警によると、被害の大半は人目に付きにくい農閑期や夜間に起きている。
農家が春の田植えの時期になって、盗難に気づくケースもあるという。県警は、実行犯が蛇口を古物商などに売り、不当な利益を得ているとみている。

背景にあるのは、世界的な金属価格の高騰だ。
水戸市の金属リサイクル業者によると、種類を問わず高値圏で推移している。昨年春頃に比べ２倍近くになった金属もあるという。

この業者は「コロナ禍で各国が金融緩和を実施した結果、通貨価値が下がった。変動の少ない金属の資産価値が高まったためではないか」と推測する。

金属目当てとみられる盗難は、蛇口だけの被害にとどまらない。太陽光発電に用いる銅線やケーブルなどが盗まれる事例も、県西や県南を中心に相次いでいる。

県警によると、県内で昨年の１年間に発生した金属盗は、全国最多の１２２７件だった。２位は栃木県の６９１件で、本県の多さは群を抜いている。

県警は、〈１〉農業が盛ん〈２〉日照条件が良く太陽光発電施設が多い――といった本県の特性を一因に挙げる。