- 1 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/09/02(水) 20:00:31.847 ID:I0u9wGsC0
- 神界――
先輩「どこ行くんだ?」
神「ちょっと人間界に“人”になって降りてみようと思いまして」
先輩「変わったことすんなぁ。なんでまた?」
神「実は俺、100年ぐらい前に人間界に降臨して人助けをしたことがあって」
神「その時助けた奴が俺に感謝して、俺を信仰する宗教を作ってくれたんですよ」
先輩「へぇ~、お前もやるじゃん」
神「で、今その宗教がどうなったのか、せっかくなんで人として見に行こうと思いまして」
先輩「なるほどな。人になったら文字通り、能力は人並みになるから気をつけろよ」
神「はいっ、行ってきます!」
- 2 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/09/02(水) 20:01:21.428 ID:IWCkU9Qi0
- 信者に殺されそう
- 3 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/09/02(水) 20:01:31.811 ID:SVtuZeZXp
- 期待
- 5 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/09/02(水) 20:02:04.533 ID:szHYAEsl0
- 水に流すってそういう……
- 6 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/09/02(水) 20:03:45.473 ID:I0u9wGsC0
- ……
男(とまぁ、俺は人になって下界に降りた。開祖となった人間に出会ったのはこの地域だったはずだ)
男(俺が開祖に教えたのは――)
男(あまりお金に執着するな・友達をいっぱい作れ・ご飯はよく噛んで食べろ、この三つだけ)
男(こんないい加減な宗教、とっくになくなっててもおかしくないよな)
男(まあ、それならそれで、話のタネにはなる――)
父「今日もオーラカ教の教えに従うぞ!」
母「ええ!」
子「……」
男「!」
男(≪オーラカ教≫ってのは、俺を信仰してる宗教! 名前の由来はもちろん“おおらか”!)
男(今も残ってたのか、やったぜい!)
- 7 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/09/02(水) 20:06:16.435 ID:I0u9wGsC0
- 父「まずはこの家だ」ピンポーン
家主「はい」
父「オーラカ教に入信しませんか?」ニコッ
家主「……!」
母「私たちと一緒に大らかに暮らしましょう!」ニコッ
家主「いや……うちは仏教だから……」
男(布教活動か……ご苦労さんです)
- 8 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/09/02(水) 20:09:30.552 ID:I0u9wGsC0
- 父「呪われろ~……」
母「呪われろ~……」
家主「なんだあんたら! とっとと帰ってくれ!」バタンッ!
父「地獄に落ちろ……クズめ」
母「ええ、オーラカの教えを理解できない者はクズよ」
父「次行くぞ。信者を増やさねばならん」
子「……」
男(んん……? んんんん……?)
男(なんだこいつら……ちょっと様子がおかしいぞ……)
- 9 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/09/02(水) 20:10:40.121 ID:OnEYnc2hr
- 子が無言だな
- 10 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/09/02(水) 20:12:15.608 ID:I0u9wGsC0
- 父「くそっ、ここもダメか!」
母「どいつもこいつも地獄に落ちればいいのよ!」
子「……」
「あいつら、オーラカ教だぜ」 「近寄るなよ……」 「今日もあちこち回ってる。怖いわね~」
男(ご近所でも悪い噂立ってんじゃん、あの家族!)
- 11 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/09/02(水) 20:16:13.960 ID:I0u9wGsC0
- <家>
父「いただきます」ニコッ
母「いただきます」ニコッ
子「……いただきます」
モグモグモグモグモグモグ…
モグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグ…
窓の外から――
男「……」コソッ
男(たしかに“ご飯はよく噛め”って教えたけど……いくらなんでも噛みすぎじゃね?)
- 12 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/09/02(水) 20:19:15.288 ID:I0u9wGsC0
- 子「……」ゴクン
父「コラ! 一口ごとに1000回噛めっていったろ!」
母「そうよ! 神の教えを破るというの!?」
男(1000回!? 俺そんな数字出した覚えねーぞ!?)
男(それにそんだけ噛むとかえって顎に悪そうだぞ……? 飯もドロドロになるだろうし……)
- 13 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/09/02(水) 20:19:26.821 ID:SVtuZeZXp
- 豚肉は気をつけてねって言ったら豚肉はダメに解釈されたみたいな話だな
- 14 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/09/02(水) 20:22:09.810 ID:I0u9wGsC0
- 父「教えを破る子は……“ギルテ”だ!」
母「“ギルテ”よ!」
父「オーラカの教えの下、これより“バーツ”を与える!」
バシッ! バシッ! バシッ!
子「いたっ……! いたいっ……!」
男(なにいいい……!? “ギルテ”とか“バーツ”とか俺知らねえぞ!)
男(これが……俺を信仰してる宗教の信者!? どうなってんだよ……)
- 15 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/09/02(水) 20:26:19.489 ID:I0u9wGsC0
- ……
父「今日は待ちに待った集会だね」
母「教祖様にお会いできるのが楽しみだわ」
子「……」
男(集会……。教団の今のトップである“教祖”と、信者たちが一堂に会するわけだ)
男(俺も行ってみよう。オーラカ教の全容を掴めるはずだ!)
- 16 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/09/02(水) 20:29:31.765 ID:I0u9wGsC0
- <集会場>
ガヤガヤ…
男(入信したいから見学させてくれっていったら、案外簡単に潜り込めた……)
男(数百人は集まってるな……)キョロキョロ
男(だけど、素直に喜べない……。気になることが多すぎる……)
ザワッ…
「おおっ、教祖様だ!」
「教祖様がいらっしゃったぞ!」
「ありがたや、ありがたや……」
- 17 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/09/02(水) 20:32:40.468 ID:I0u9wGsC0
- 教祖「皆さん……神の教えを守っていますか?」
「はいっ!」
「はいっ!」
「はいっ!」
男(ずいぶん派手な衣装を身につけた奴が来たなぁ……)
男(俺が出会った“開祖”になった人間は、質素倹約を地でいくような奴だったのに……)
- 18 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/09/02(水) 20:35:28.817 ID:I0u9wGsC0
- 教祖「神の教えはこの三つです」
教祖「お金に執着するな。ゆえに教団に財を捧げる“フーセ”」
教祖「友達をたくさん作る。つまり信者を増やす“トーモ”」
教祖「食べ物はよく噛む。一口ごとに1000回噛む“カーム”」
教祖「この三つを守れば、神は我らを救って下さるのです」
男(フーセとかトーモとか、俺はこんなこと一言もいってないぞ!)
男(俺の教えを曲解しやがって……。曲げるどころかもう別物だろこれ)
- 19 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/09/02(水) 20:38:15.012 ID:I0u9wGsC0
- 教祖「さて、あなた」
信者「は、はいっ!」
教祖「あなたは今月、トーモを何人増やしましたか?」
信者「それが……今月は一人も……」
教祖「……」
教祖「それは……よくありませんねえ」
- 20 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/09/02(水) 20:41:22.480 ID:I0u9wGsC0
- 教祖「この方はギルテ! バーツを与えなさい!」
側近「はい」
バシッ! バシッ! バシィッ!
信者「ぐはっ! ぐえっ! ――ぐあっ!」
教祖「よいですか? 神の教えを守れない者はギルテであり……こうなるのです」
男(出たよ……ギルテ)
男(あんな棒で何発も……。やりすぎだろ……どう考えても……)
- 21 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/09/02(水) 20:44:37.124 ID:I0u9wGsC0
- 教祖「それでは神に選ばれし私にしか出来ぬ“奇跡”をお見せしましょう」
教祖「神よ、我に力を与えたまえ!」
教祖「見よ! 手から聖水が……!」チョロロロロロ…
オォ~……!
男(もちろん俺はなんもしてません)
男(なにが奇跡だ……ただの手品じゃねーか! 袖のところに袋が見えてるっつーの! 誰か気づけ!)
男(まさか、こんな胡散臭い教団になってるとは……俺はどうすべきなんだ……!?)
- 22 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/09/02(水) 20:48:36.757 ID:I0u9wGsC0
- 女「教祖様!」バッ
教祖「ん?」
「誰だあの女!?」
「教祖様の話を遮るなんてギルテだぞ!」
教祖「まあまあ、待ちなさい。なにかおっしゃりたいことがあるのですか?」
女「はい」
男「……?」
- 23 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/09/02(水) 20:50:24.427 ID:OnEYnc2hr
- お?
- 24 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/09/02(水) 20:51:12.257 ID:I0u9wGsC0
- 女「私は……絶版になった開祖様が書いた書物を読んだことがあります」
教祖「ほう?」
女「それによると、オーラカ教はもっと大らかな宗教だったはずです」
女「なのになぜ、こんなお金儲けやノルマを課したりするような宗教になってしまったのですか!?」
女「私には、あなたがオーラカ教を私物化してるようにしか思えません!」
ザワザワ…
男「そうだ! その通りだ!」
ギロッ!
男「あ……(やべ、つい……)」
- 25 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/09/02(水) 20:54:55.128 ID:I0u9wGsC0
- 教祖「諸行無常という言葉があります。この世のあらゆるものは常に変化しているのです」
教祖「馬車は自動車になり、黒電話はスマートフォンになり、今や和服を着ている方は珍しい」
教祖「時間は絶えず流れていますし、我々も常に年を取っている」
教祖「これは宗教も同じこと。時代の流れとともに、宗教の性質が変化するのも当然のことです」
女「ですが……!」
男(屁理屈だな……だいたい諸行無常って仏教の言葉じゃねえか?)
教祖「どうもあなたにはまだ信心が足りないようですねえ」
女「う……!」
教祖「この二人は大ギルテです! 懲罰室に送って、悔い改めるまで特別なバーツを与えなさい!」
側近「はい」
男(やっぱり俺もかよ!)
- 26 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/09/02(水) 20:58:09.582 ID:I0u9wGsC0
- 側近「さぁ、バーツを与えてやる」
女「これまでね……」
男「大丈夫さ。ここは俺に任せとけ、お嬢さん」
女「え?」
男(今の俺は能力は人並みだが、それでも神は神だ)
男(近くに自分を信仰してる人間がいればいるほど力を増すことができる!)
男(今ここには大勢の“俺の信者”がいる……)
男(つまり……人間の10人や20人に負けないぐらいの力は十分発揮できるはず!)
- 27 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/09/02(水) 21:02:01.140 ID:I0u9wGsC0
- ところが――
男「行くぜ!」
男「吹き飛べ! カァァァッ!」
男「神パワー発動! キェェェッ!」
シーン…
男「あ、あれ……?」
側近「?」
男(おかしいな、全然力が出ない。どうしてなの?)
- 28 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/09/02(水) 21:05:49.872 ID:UX4wpVmk0
- なんで
- 29 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/09/02(水) 21:06:27.357 ID:I0u9wGsC0
- 男(そうか……分かった!)
男(教祖を始めとした幹部連中は、宗教で金儲けしたいだけで当然俺なんざ信仰してないし)
男(信者たちもそいつらが捻じ曲げた教えを守ってるだけ……俺を信仰してるとはいえない)
男(ようするに、この場に俺を信仰してる奴なんて一人もいない! 顔が濡れたヒーロー状態!)
バキィッ!
男「ぶぎゃあっ!」
男(思い切り殴られた……俺、一応神様なのに……)
側近「さぁ、ひっ捕えてやる」パキポキ
男「ひえええええ……! 神様助けて……!」
- 30 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/09/02(水) 21:07:59.864 ID:reXrs4pCa
- お前が言うなww
- 31 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/09/02(水) 21:08:15.001 ID:QH5gytqy0
- しえん
- 32 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/09/02(水) 21:08:40.452 ID:I0u9wGsC0
- ……
男「う、うう……」ボロッ
男(あーあ、捕まっちまった……)
女「大丈夫ですか?」
男「まあね……丈夫さだけは自信あるんだ」
男(なんてことだ……)
男(俺を信仰する宗教は現存してたけど、もはや俺のことなんざ誰も信仰してないなんて……)
男(トホホ、あんまりだよぉ~!)
- 33 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/09/02(水) 21:11:30.565 ID:I0u9wGsC0
- 男「これから俺たちはどうなるんだ?」
女「拷問まがいの罰を与えられるんだと思います。悔い改めるまで……」
男「ようするにボコボコにして、二度と逆らえないようにするってことか」
男(この宗教の一体どこが大らかなんだよ……“キビシー教”とかに改名しろ!)
ギィィィ…
拷問官「さぁ、教育してやる!」
拷問官「女の方は特に念入りになァ……覚悟しな!」
男「……」
女「くっ……」
- 34 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/09/02(水) 21:14:10.878 ID:I0u9wGsC0
- 男「うおおおおおおおっ!」ドカッ!
拷問官「うぎゃっ!」ドサッ…
男(さっきの俺の無様なやられっぷりを見てるだろうから、油断してると思った!)
男「おい、逃げるぞ!」
女「え!?」
男「早くしろ!」
女「は、はいっ!」
タタタッ…
拷問官「ぐっ、まさか抵抗してくるとは……。ま、待て……」
- 35 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/09/02(水) 21:15:49.091 ID:VBg2yJ2R0
- この女の信仰力は利用できるな
- 36 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/09/02(水) 21:17:23.689 ID:I0u9wGsC0
- ……
男「はぁ、はぁ、はぁ……」
女「はぁ、はぁ、はぁ……」
男「ここまで逃げれば大丈夫だろう」
女「ありがとうございました……」
男「ところで、君はオーラカ教について結構詳しいみたいだね」
女「ええ、私も信者ですから」
男「俺は入信したばかりなんだけど……よかったら色々と教えてくれないか?」
女「かまいませんけど……」
- 37 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/09/02(水) 21:20:39.617 ID:I0u9wGsC0
- <ファミレス>
男「……なるほど、今の教祖になるまでは、穏やかな宗教だったと」
女「ええ、お金に執着しない・友達を作る・ご飯はよく噛む、を守ろうとするだけの団体だったと聞いてます」
女「ボランティア活動なども行って、地域の人にも親しまれてたそうです」
女「ですが、あの男が教祖になってから――」
男「みるみる教団は変わっていき、教祖連中を潤すためだけの団体になっていったわけか」
女「はい……」
男(この国じゃ宗教は税制面その他で優遇されてると聞く)
男(宗教は儲かると踏んだあの教祖が、弱小だったオーラカ教を上手い具合に乗っ取り)
男(自分の都合のいいように作り変えてしまったんだろう……)
- 38 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/09/02(水) 21:24:18.022 ID:I0u9wGsC0
- 女「それに、オーラカ教には私の親類や友人も何人も入信してて……」
女「洗脳されて、ほとんど全ての財を持っていかれた人もいるんです……」
女「だから、集会で教祖を糾弾して、皆の目を覚まさせようと思ったのですが……」
男「……」
男(神が人間にこんなことしちゃいけないのかもしれない。だけど、せずにはいられない――)
男「ごめんなさいっ!」
女「え?」
男「本当にごめんなさい! 俺が悪いんです! 申し訳ないっ!」
女「なんですか、いきなり? なんで謝るんです?」
男「……」
- 39 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/09/02(水) 21:26:50.744 ID:VBg2yJ2R0
- やばい続きが一々気になりすぎてやばい
- 40 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/09/02(水) 21:29:05.819 ID:I0u9wGsC0
- 男(神に戻って、あの教祖を制裁するのは簡単だ……。教祖に何人部下がいようと俺の敵じゃない)
男(だが、神として人間界に干渉するのはあまり好ましくないし、あまりにも芸がない)
男(それにやってることは、結局あの教祖と一緒になってしまう)
男(あくまで“今の俺”で、奴らを打ち負かしたい……! そうでなきゃ意味がない……!)
男「あのさ……」
女「はい」
男「もしも俺が神だっていったら……信じてくれる?」
女「え……?」
- 41 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/09/02(水) 21:29:31.662 ID:Q26QCbm3r
- 支援
- 42 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/09/02(水) 21:31:16.399 ID:I0u9wGsC0
- ……
男「――というわけなんだ。全ての元凶は俺……ってわけ」
女「……」
男「信じる?」
女「神様が人になって自分の宗教の変わりようを嘆いてる……?」
女「とんだ妄想ですね。とても信じることなんてできません」
男「うぐっ……!」
男(だよな……こんな話、あの教祖よりウソ臭いっつーの)
- 43 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/09/02(水) 21:35:50.327 ID:I0u9wGsC0
- 女「だけど、信じます」
男「へ?」
女「私にはあなたがウソをいってるようには見えないし、それに私を助けてくれたのは確かだから……」
男「……!」ジーン…
男「君って奴は……」
女「ちょ、ちょっと泣かないで下さい!」
男「こりゃ失礼」ゴシゴシ
男「俺は奴らに一泡吹かせたい! 力を貸してくれるか!?」
女「はいっ!」
男「ありがとう!」
- 44 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/09/02(水) 21:37:42.977 ID:I0u9wGsC0
- 女「しかし、神様……」
男「おっと、神とは呼ばないでくれ。今の俺はほとんど人間だし」
女「えぇと男さん、どうやって一泡吹かすつもりです?」
男「やるとしたら、次の集会の時だ。次の集会はいつ?」
女「一ヶ月後です」
男「俺がこの状態で力を手に入れるには、信仰心を得るしかない」
女「ということは、私たちも教えを広めるんですか?」
男「いやいや、そんなことやっても誰も聞いてくれないだろうし、付け焼刃だろう」
- 45 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/09/02(水) 21:39:31.639 ID:I0u9wGsC0
- 女「じゃあ、どうすれば?」
男「決まってる。こういう時は地道に人助けだ。人を助けて、ありがたや~って感謝してもらうんだ」
男「人々のそういう気持ちがきっと俺に力をくれるはず!」
女「な、なるほど!」
男「さ、しゅっぱーつ!」
男「――と、その前に腹ごしらえしないとな!」
店員「お待たせしました。ハンバーグステーキです」
男「おほっ、うまそ~!」ガツガツ
男「あ、やべ、よく噛むの忘れてた。言いだしっぺなのに」
女(ホントに大丈夫かなぁ……)
…………
……
- 46 名前:ひみつの名無しさん 投稿日時:2020/09/02(水) 21:42:21.556 ID:I0u9wGsC0
- 老婆「よいしょ、よいしょ」ヨロヨロ…
男「おばあちゃん、お荷物お持ちしましょう」
老婆「ありがとうねえ……」
~
会社員「すいません、このあたりに郵便局は……」
女「あそこのコンビニの角を曲ればありますよ」
会社員「ありがとうございます!」
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